●ENDING#1 : ENDLESS

◎Scene Card : HIRUKO ( 知られてはならぬ真実 )

○Scene Player: 雲外鏡

・Stage : イスラエル首都・エルサレム跡地

†BGM :『 人が人ではなくなるとき / VALKYRIE PROFILE O.S.T Track10 』


 濃密な魔力光が、未だ淡雪のように空から降り注ぐ。残されたのは、廃墟と化した街の残骸。聳え立つ、二柱の神。そして――……大地に撃ち捨てられ た、一冊の魔導書。


【雲外鏡】:カニオは、いる?

【RL】:いる。カニオはなんか、うにうにして る。どめきが落ちてる。

【アカシャ】:うにうに!

【RL】:アウラはぼんやりしてる

【雲外鏡】:うにうにって、どんなんだ。

【RL】:なんか、蠢いてる。ほっときゃ元にもどるよ。多分。

【雲外鏡】:ふわり、と地へ脚をつける。

「うわ。うにうにしてる」

 傍らには褐色の肌の少女。既に神の姿はない。

【アカシャ】:「うに――……はい。蠢いています」

【RL】:『――……月が沈むこロニは戻りマスよ』

【雲外鏡】:「なかなかに愛嬌があるよね、アカシャ」

 もったいない、と一言呟き。

「人の身を捨て――、欲望を追い求め――、敵と定めた存在に――救われる」

 にこりと微笑み、白い魔術師は問う。

「これが、貴方の理想の姿ですか? “光”殿」

【RL】:『敗北ノ先に、理想はありまセンよ。ならば、これ ガアルべき姿なのでショウ』

【雲外鏡】:「なるほど。ありがとうございました」 深 く、一礼。

【RL】:「ありがとうございました。だが、真っ二つだぞ」 とかいって指パッチンするのかとおもった。

【雲外鏡】:しないよ!?ぼく わるい うんがいきょうじゃ ないよ。

【アカシャ】:ぱちん☆ぱかっ。

【天杜】:どろお。(何かが出た音)

【雲外鏡】:「貴方のおかげで、僕はまた1つ、己の可能性を知ることが出来た。心よりの感謝を。それと、貴方の願いを叶える事のでき た喜びを」

【RL】:『――……ふ、フ』

【雲外鏡】:「?何か、可笑しかったでしょうか?」

【RL】:『エエ、全ク。ならば、もう終わりです。表だった 拝命ハ、逃れエルものではありまセンし……これでお別レでしょう。満足ですカ』

 ぺち。

<白兵><交渉><免罪符> 【感情】7+C10= 17

【アカシャ】:ぺち……。

【雲外鏡】:ぺち……。あうらー。

【RL】:白い少女の、先ほどの星女のものとくらべれば弱弱しい手が。異形たる"光"を打った。

 直後。

「…………AURA?」

 燐光に包まれ。異形は――はたして、どちらが原型と呼べるのか――人の姿へ。カニオと呼ばれていた人間の姿へと、巻き戻っていた。

【アカシャ】:な、何かしたっ。うにうにじゃ、なくなった。

【RL】:「――……マスター、は。殺、され、る?」 雲外鏡へと視線を向ける。

【雲外鏡】:「はぁ?なぜ?」 首をかしげる。

【RL】:「だ、って…」 言いよどんでいるらしい。

【雲外鏡】:「フフ――」 その様子を見たからか、思わず笑みがこぼれる。 「魔道書、というのは面白いね」 傍らの少女をちらりと 見て。

【アカシャ】:「――……」人形のように佇んでいた少女は、ただ、その光景を、じっと見詰めて――。

【雲外鏡】:「いや、魔道書の中の人かな?」

【RL】:おい、中の人とかいうなよ。

「……」

【アカシャ】:その視線に気が付き―― 「……?」 きょととする 「中の、人……?……」そうして、AURAたちに視線を戻す ――。

【雲外鏡】:「或いは外の人かもしれない。どちらでも良いけどね」 外の人が世界観的には正しいんだっけかな。少女が、魔道書を内包 してるとかなん とか。

【RL】:「……マスターを、よろしく、お願い、します」

 少女はぺこり、と。 頭を下げた。

【雲外鏡】:「だが、断るよ」  笑顔のまま。ひらひらと手を振る。

【RL】:「え…」

【雲外鏡】:「生憎と、僕の与えられた任務?に、裏切り者の粛清みたいなことは含まれてない。勿論、世話もね。誰かが願うならまだし も、自分から動 くのは面倒だな。第一、君には願い通り、力を与えたじゃないか」

【RL】:「…………」

【雲外鏡】:「マスターを護る力、だっけ。それは、星女様の願いかも知れないけれどね」

はて、そういえば彼女は何処へ行ったのだろう? と二人の飛んでいった空を見上げる。

【RL】:「……なるほど、なるほど」

 "ただの"カニオは、ゆっくりと一礼し。

「――では、よしなに。反逆は致しませんが――……拝命もまた、致しませぬので、ご了承くださいませ」

【雲外鏡】:「うん。さようなら、“カニオ”。縁があったらまた会おうね」

 ばいばい、と手を振りかけ――。

「君から言うことはあるかい、アカシャ?」

 思い出したように手を止める。

【アカシャ】:「……――“アカシャ”が、ですか」

【雲外鏡】:「そう。君から言うこと、望むこと、やることがあるんじゃないかい?」

 覗き込むように、少女の瞳を見つめる。

【アカシャ】:「――彼等、に……?」

 その雲外鏡の瞳に写る、自身の姿を奇妙に眺め――。

【雲外鏡】:「そう。彼等に。君だけが。彼等だからこそ。君だからこそ。縁で結び付けられた、因果が」

 歌うように呟き、焼けた大地に手をつき、何かを拾う。それは、黄金色の――。

【アカシャ】:「……――」

【雲外鏡】:「どう?君の望みならば、無条件に、僕は従うよ?」

【アカシャ】:――黄金――。既に結晶体となった、カヴァラドッシの“記録”。それは――ただの情報の羅列。

 ――。ざわり――。

【雲外鏡】:「ねぇ。アカシャ。本当に」

【アカシャ】:何か、胸の内から……、蠢くものが――。

「……」

【雲外鏡】:レッガー◎。

 哂う。嘲う。

【アカシャ】:ざわり、ざわり……ざわり……と、雲外鏡の微笑みがかき乱す――。触発されたように――じわり、何かがしみ出すように わき出し て……。

【雲外鏡】:「本当に、君は、何も、オモウことは、無いのかい?」

【RL】:おいいじめんなよ。

【雲外鏡】:《守護神》。

 不都合の改竄。笑みを隠蔽。そこにあるのは、ただの――、

 ハイランダー◎

 ――希望。

【アカシャ】:「――……」

 ざ……ざざ……っざざ……。

【RL】:おい。本性をかくすなよ。

【アカシャ】:は、そういえば、《霧散》打って いないな……。ここで妄言《霧散》

【雲外鏡】:うにうにカニオにはもう語ること無いので、アカシャのアクション次第だ!

【RL】:なん、だと。うにうにしてねーよ

【アカシャ】:一回霧散して、気持ちを落ち着け て、戻ってくる(爆)なんだそれ。

【雲外鏡】:しろよ。

【RL】:しろよ。

【アカシャ】:え、そんな霧散してもいいのか……。じゃ、してくる。

「これの……思うこと、アカシャの思うこと――……」

 まるで、鏡のように、返す――。

 よっし、リフレッシュ《霧 散》打とう(爆)

《 霧 散 》

【RL】:イッタァー!(笑)

【アカシャ】:一瞬――、少女の姿をしたそれは、段々と透明になり――その存在が希薄になったかと思えば――再び、姿を現した

 こう、脅かされた心を、打ち消した!(爆)

 かき乱された情報を整え――。

「――情報の更新を完了しました――」

 すっと、閉じていた目を開く。

「……マスター、――アカシャは、見つけました。この男に、アカシャがすることを」

【雲外鏡】:「うん――?」

【アカシャ】:情報を更新し、――篩を掛けても、残った、欠片。

 カニオの前に進み出ると。

【RL】:「……」

【アカシャ】:―― La commedia e finita ――

 すっと、手を振り上げ、

 ぱんっ。

「――ごきげんよう」

【雲外鏡】:まさかの、ダブルびんた。ちょっとカニオ可哀相。げらげら。

【アカシャ】:アカシャは、びんたを学びました。

【RL】:いたい。

【アカシャ】:きっ、と一瞥をくれると、くるりと反転して雲外鏡の傍らに戻った。

【RL】:微笑、一礼。今までとなんら変わらぬ所作ながら、なぜかその動作は流麗に。

【雲外鏡】:「フフ。ごきげんよう」

 真似るかのような台詞を呟き。少女を伴い、巨大な姿見へと消えてゆく。

【RL】:「――……さて。行きますか。」

 それは。"未来"に、記されていなかったことで。


 ――SceneEnd...


【天杜】:最後、変態が綺麗な変態になっちゃっ た……。

【アカシャ】:……きらきらしてやがる。

【雲外鏡】:助けたら、綺麗になるんだよ。そういう魔術法則。

【天杜】:あぢでー。

【雲外鏡】:うん。うにうにしてるし。

【アカシャ】:うにうに

【天杜】:こねこね。

【アカシャ】:まるめた。

【RL】:負けたから諦めるんだよ。あいつは最初からきれいな 変態だったんだって。


●ENDING#2 : STELLA

◎Scene Card : KABUKI ( 無計画 )

○Scene Player: 天杜

・Stage : 極点 / 聖地エルサレム

†BGM :『 悠久たる孤独は我を蝕む / 機神咆哮デモンベイン O.S.T Track17 』


 身体を叩くのは、あまりにも冷たい風。だが、生命を奪う程ではなかった。恐らくは、自らを抱くこの魔器物の魔術だろう。

 ごう、と大気を切り、空を翔る。


【RL】:「――……極点だ。かつては、生身の人間が辿り着くことは不可能に近かったのだがな」

【雲外鏡】:ここから、MORIのターン。

【天杜】:ごめん、何処?見れば極点ってわかるのかな。

【雲外鏡】:ドゥームドモスク。聖母殿の本拠地でニューロエイジだと、北極。かつてはエルサレム。詳しい描写は公式にはない。組織が でっかいので、 人がすめるように改良されてるんだと思う。

【RL】:うん。かつての聖地に、地軸がずれて重なってる。(笑)

【天杜】:あほみたいに寒いんじゃないのかここ。一面の氷なのかなー。

【RL】:寒いよ。(笑)けど、何百キロ飛んでるぞ、MORI。

【天杜】:なるほどドームがちょこちょこ、ある感じかな?

【雲外鏡】:うん。アーコロジーとかもあるかも。世界最大の宗教組織の総本山なので。ロシア+ローマなイメージかなー。

【RL】:叩きつける吹雪も、今は静かだ。一面の銀白。眼下には聖母殿が本拠地、ドゥームド・モスク。

 雪原の向こう、この高度からでも更に途切れる地平線の向こうへと続くのは、長い長い線路。点在する巨大なドームと、中央に聳える大神殿。

 ――この時代になっても、人間の手ではこの程度が限界だ。

  一面と広がるのは、自然の形。白と銀と、黒と。光と、影と。空には月。

【天杜】:「ここが、MORIの選んだ気の利いた場所?」

【RL】:月光が、ちらちらと反射される。

「そのつもりだ」

 実際綺麗だとはおもうんだよ!

【天杜】:「ここが綺麗だと、思う風景……」 そう言って、ましになったとは言え、それでも幾分か吹く風に、目を細めながら、360 度、モノクロ の……いや、月明かりによって蒼く、ほのかに光るその世界を見た。

「何か、思い出でもあるの?ここに」

【RL】:「――……」

 空中で、器用に胡坐をかく。

「かつて。此処を綺麗だといって、死んだ魔術師がいた」

【天杜】:しかし、どんな風に抱えてるんだ。

【RL】:胡坐かいてお姫様抱っこ。子供あやしてる感じにちかい。

【天杜】:おい、何やってんだ。ロマンしまえよ。

「……」 己を抱えるMORIの表情を振り仰ぐ。顔と顔の距離が近い。視線を、景色に向けなおした。

【RL】:「君の十六代前の――五百年は前だな。そのころは、まだ、此処は氷に包まれてはいなかったし、極点も"此処"ではなかった のだがな」 苦 笑。

【天杜】:「……綺麗だったの?」

【RL】:「――……。悪くはなかった。近場で戦っただけだ。あの女も、手近なところを見つけたかったのだろうよ、――……最期に な」

【天杜】:「……死なない」

【RL】:「ん?」 聞こえなかったのか、顔を下げる。

【天杜】:「死なないよ」 もう少し大きな声で。空に舞う、風にかき消されないよう、繰り返した。

【RL】:「……。死ぬ。もう、時間だ。URITEが朽ちる頃合也」

【天杜】:「……じゃぁ、賭ける?」 面白がったような……自分を励ますような、でも魅力的な小さな、笑み。

【RL】:「……賭けとして成立せぬぞ」

【天杜】:「ワタシは死なないって信じてるもん、成立するよ」

【RL】:「成程。では、何を賭けるのだ」

 少しだけ間が開いて、そう返してくる。貌は硬質に。ただ、これを最期の戯れと看做すように。

【天杜】:「じゃあ……、ワタシが死ななかったら、ちゃんと、言う事きくこと。そっちは?」

【RL】:「…………。死にゆく者から、貰うものなど何も無い。死にゆく者へと、望むこともまた何も無い。……本当に、賭けとしては 成立せんな」

【天杜】:「ノリ、悪いなぁ」 つまんない、と唇を尖らせる。

【RL】:「死ぬんだぞ、君は。どうやって回収しろというのだ」

【天杜】:「そんなの、MORIが考える事じゃないか」

【RL】:「……分かった分かった。君が死んだら、君の名を貰おう。Aを貰うだけだ。よかろうな」

 冗句のつもりなのか、はははははと乾いた笑いを上げる。

【天杜】:「なんだ、そんなものでいいんだ。いいよ、あげる。ワタシが死んだら、あげるよ」

【RL】:「……分かった。時間だ。君は、その名の通り、死人となるわけだ。……最期は、熱いぞ。堪えろ。すぐに楽になる」

 指を立て、一本ずつ、折っていく。

【天杜】:その指を、じっと、翠の瞳で見つめる。

【RL】:全て、折り込まれたとき、何かが流れ込んでくる感覚。

 熱い。熱い。熱い。

 心臓が張り裂けそうな程、灼熱する何か。全身をめぐる血液が、沸騰したかのように熱い――!!

【天杜】:「……っ、ぅ…」

 小さな手でぎゅうと、己の心臓の上を、体を服を掴む。

【RL】:灼熱は続く。全身を。肉体を。魂を焼き尽くすかのように、続き。

 ――ザ。

 唐突に、終わりを告げた。

【RL】:「――……死んだか」

 熱に浮かされる身体をいたわるような、MORIの声が聞こえ る。

【天杜】:……きらっ。死んだふりする。

【RL】:おい。

【天杜】:咄嗟に、死んで無い、と反論しかけたが。……此れまでの数々の仕打ちを思い返し、死んだ振りをする事にしてしばらく、様子 を見ることにし た。

【RL】:「全く。要りもしないが、名前は貰うぞ。――……」

 独り言は、それで終わりだった。ただ、乾いた肌の感触。MORIの掌が、頬を撫でた。動かなくなってしまったものを、惜しむように。

 ――……抗えなかったか。君も。

 独り言は、もう終わりで、けれども何故か、そんな声が聞こえた気がした。

 ばさり、と羽ばたく音。空を統べるように動く感覚。

【天杜】:そして。死んだ振り――息を止めるのに限界が訪れる。わざと弛緩していた手足が、ぷるぷると震えて。

「っ、ぷはっ」

【RL】:「――うおッ! 」

 落とされた。

 びっくりして手が滑った。

【天杜】:「っ………きゃぁああああああああああああああああああああああッッッッッ」

 落下していく、ドップラー効果のように声が尾を引いた。

【RL】:がっ、と。思ったよりは軽い衝撃が身体を伝う。

「――……な……。――……な…ぜ、生きてるんだ、君はッ! 」

 空中でキャッチされた――らしい。幾分落ちた高度。

【天杜】:「っっぁああ……っ」

 はぁはぁと荒い息。ばくばくとなる心臓をなだめるように、数度、薄い胸をなでた後。

「酷い、酷いよ!落とされたら本当に死んじゃうじゃないか!」

 ぽかぽかと、死んだまねをしていた自分のことは棚にあげて、MORIを軽く小突いた。

【RL】:「い、や……。馬鹿な、ありえん……」

【天杜】:「何さ」 すっかりと見慣れた、むくれた顔でMORIの顔を見上げる。

【RL】:「生きている筈が無い」 対して、見たこともないくらい狼狽――驚愕した顔がそこにあった。表情の動き自体は小さいが、確 かに。

【天杜】:「でも、生きてるもん」 ソレを見て幾分溜飲が下がったのか、膨らませていた頬をへこませる。

【RL】:「ありえん」

【天杜】:「でも生きてるもん」 繰り返す。

【RL】:「歴代の魔術師には、稀代の大魔女といわれるような魔術師もいたのだぞ……。しかし彼奴らもまた例外なく燃え尽きた、何 故……」

【天杜】:「………」

【RL】:「――……その"星女"の力というやつか、だがしかし…?」

【天杜】:「………」

【RL】:すっかり混乱した様子でうろたえる。

【天杜】:「………った、は?」 ぼそぼそと、くぐもった声。

【RL】:「な、なんだ…?」

【天杜】:「生きててよかった、は?」

【RL】:「……。――何の間違いか、生きながらえたようだな」

【天杜】:ぽかっ!

【RL】:「……」

【天杜】:「何でそんな言い方しか出来ないのさ!」

【RL】:「矮小なる人間の生き死になど、此れには関係が…」

【天杜】:「賭けはワタシの勝ちだからね、言う事きいてもらうから!」

【RL】:「……む」 口をへの字に曲げて、しばし沈黙。 「……良かろう」

 大変不本意だが、と続ける。

【天杜】:「もっと、思いやりを持って接して」 ぷん、と横を向く。

【RL】:「……難しいな」

 なら、と。溜息と共に。

「生きていて良かったな」

【天杜】:そっぽを向いていた顔を戻し。

「……うん」

 嬉しそうに笑った。

【RL】:「…………」

 顔を背ける。

「それで、何処に行くのだ。言っておくが、契約のディスペルはできんし」

【天杜】:「え、どうして?」

【RL】:「……。したことがないからだ。やり方を知らん」

【天杜】:「……」

【RL】:「それに――此れが特に"燃費"が悪いのは認めるところだが、魔導書というものは例外なく、心臓たる魔術師の魂を食い潰す ものだ。 ――…………それは肝に銘じておけ」

【天杜】:「……うん、判った。契約解除方法を探せばいいんだね」

 それをどう取ったのか、少女はそんな風に答えた。

【RL】:「――〜〜まぁそれでも構わんが……」

【天杜】:「教団に帰ろう、そうしたらきっと、誰か知ってると思うし」

 言いながらポケットをごそごそと探る。

【RL】:「承知した」 それを待つ。

【天杜】:「MORIが寂しいなら、お友達になってあげる」 そして、自分のおかれてる立場を振り返り。難しいかもしれない、と考 え。 「から」  でも、言い切った。

【RL】:「ふん」

【天杜】:そして、ポケットから取り出されたポケットロンの短縮を押す。教団の主要部へのダイレクトコール番号のはずだ。普段、電子 機器は遺伝子を 傷つけるということから極力遠ざけられているが、こういう遠方への外出時には支給される。

【RL】:「そんなものはいらんし、寂しいという感情とは無縁の存在なのでな。そんなものはいらんよ――……どうした、早くしろ」

 だが。使い慣れないポケットロンは、うんともすんとも言わなかった。

【天杜】:「……あれ?」

 ぽちぽち、とボタンを押してみる。

【RL】:「……何をしているのだ」

【天杜】:「うん、あのね。繋がらないの」 困ったな、といって首をかしげ。

【RL】:「……貸せ」

【天杜】:「あ」 取られた。

【RL】:奪い取り、カチカチと操作する。

「――……なんだこれは。中身がないぞ」

【天杜】:「う?え?」

【RL】:ほれ、といって。パキ、と折った。

【天杜】:「……」

【RL】:中はほぼ空洞で。――ありていに言えば、天杜は知らないことだが――店頭に並べられているサンプル品だったのだだが。

【天杜】:おい、逆パカすんなよ。

【RL】:「……誰から貰った。これを」

【天杜】:「………。カニオ」

【RL】:「……。反逆者が、それを報告されかねんものを君に渡すとでも……おい。連絡手段は?番号は覚えていないのか。本拠地の位 置は?」 矢継 ぎ早に質問される。

【天杜】:「知らない。そも、秘密結社だもん。隠れていくらだし…」 もごもご。 「……あ!」

 顔を上げる。

「それぞれ幹部が、魔導書を集めてるはずだから、その名前覚えてるし、そこにいけばもしかしたら合流出来るかも、しれ……な」

【RL】:「…………」

【天杜】:ふら、とMORIに寄りかかる。

【RL】:「気の長い話だ……アモリ?」 ぐ、と肩を抱く。 「おい」

【天杜】:「……う、ん。ちょっと、熱出たかも……無理すると、出るんだ。あんまり、身体丈夫じゃなくって……」

 魔術で、寒くないとはいえ、こんな環境に随分長い間さらされたのもあった。

【RL】:「――…………」 はぁ、と溜息。 「人間の場合、生命力は魔力に直結する。君は矢張り、此れの心臓に向いていないな」

【天杜】:「……大丈夫だよ。神子が短命でも、身体がか弱くとも……本質は受け継がれる。って、先生が言ってたから」

【RL】:「何が大丈夫なのだ」 不思議そうな顔で返される。

【天杜】:「でも、行使するのはやはり生身であるっていってたから、やっぱり駄目なのかな」

 それは、熱に浮かされたうわごとのようで。

【RL】:「此れと契約しているのは君だ、アモリ。他の奴の話なんぞ聞いておらん」

【天杜】:「うん…うん」

【RL】:「さっさと近くのドームにでも拠るぞ。契約者が出来たこと自体は、此れとしても動きやすいことだ。一応、感謝は述べておこ う。掴まれ」

 話を断ち切るようにして、ぐんと加速する。

【天杜】:「熱が出ようとも、死の淵をさ迷おうとも………偉大なる……マナは……いず、る。そは、イド、ならざる」

 風に、声が、消える。

【RL】:「――……」

 朦朧とするアモリを抱えたまま。

「……アモリ」


†BGM :『 Harmonia〜見果てぬ地へ〜 / Harmonia 』


【RL】:「――……何者だ、君は」

 己の契約の代償。一度とはいえど、其れを生き延びた存在。ありえるはずのないイレギュラー。

 そして。

 ――諦めないで、貴方を。  抗う事は、無駄なんかじゃない。

 ――ザ。

 ――世界にとって無駄だとし ても。

 ――ザ  ザ……。

 ――貴方と、■■の■■な■ にとっては、決して無駄なんかじゃない――……。

 ――ザ。

「……う」

 ぶるぶると頭を振って――腕の中で眠るアモリを起こさぬよう、少しだけ速度を落として、眼下に見えるドームへと降りていった。

 ほんの、少しだけ。



 ――SceneEnd...

【RL】:じゃ、次ぎー。

【アカシャ】:シーンをくれるなら、ちょっとだけ、やりたいというか、回想したいかな。(笑)

【天杜】:やっちゃえ。

【RL】:じゃ、場面どこがいい?

【アカシャ】:回想シーンだから、というか、物思いに耽ってみます(爆)心象空間……! (爆) 多分鍵の姿になっている間か、情報を更新した合間。そんなイメージ。


【幕間】

 諦めないで、貴方を。

 諦めないで、世界を。

 貴方の受けた絶望は、絶対に否定はできないけれど。

 貴方の受けた絶望に、絶対の肯定もできはしない。

 世界は、貴方が期待する程優しくはなく。

 世界は、貴方が怯える程厳しくはない。


 ねぇ、見てよ。ねぇ、見てよ。

 ――綺麗だ、と。そう思いながら、この世界を、見てみて。


【アカシャ】:せつない……な、幕間。


●ENDING#3 : SCENE...

◎Scene Card : FATE ( 調和 )

○Scene Player: アカシャ

・Stage : 記憶の果て / 回想

†BGM :『 追想花 / Harmonia 』


 ――ザ……ザザッ。

 ――ザ……ザザザッ。


 ゆめ。ユメ。夢。夢幻。

 夢と現があるのなら、その境はあるのだろう か。

 あるのだとすれば、恐らくは、これが。


【RL】:すきにやれい!(笑)

【アカシャ】: それは、刻歴葉――一つ一つの記録の“塊”とでも言えばいいだろう――を宿らせる、刻歴幹への、接続中のこと。全世万界 刻歴光素子 第10132葉が、枝に接続をし――幹へとその意識を飛ばしていた間のこと。先程の瞬間までの、この端末が、見聞きしたこと全てをフィードバックさせる ――。


 ざわり。ざわり、ざわり……。

「(…………っ?)」

 上手く、流れていかない。何か、記録化されていない事象が 邪魔をしている。

「(……何……?)」

 自分の掌がしびれのようなものを、意識に返している。

 “アカシャ”のすること――したこと。更新をする際に、濾過されなかった、残った、欠片。それは、黄金の、小さな、欠片。砂金の粒。

「(――黄金卿……)」

 記録の更新への意識を半量に。意識の半分を、記録の再生に。

「(“記憶”の無いことは――悲しいこと……ですか、"黄金卿"カヴァラドッシ)」

 問うた。既に、存在しない者に対して。

「(私には、ありとあらゆる“記録”があります。それとは、異なるのですか……)」

 情報の更新の――速度、が、遅くなる。

【RL】:ガリガリガリ。

【天杜】:でふらぐ。

【アカシャ】:エラーが発生してますっ、そんな状態(爆)

 それと共に、また、手に意識を向けた。 “光”の頬を叩いた――手。

【天杜】:へんたい!パーン!

【RL】:おい。

【天杜】:『――その光ィ、心地良う御座いますッ!!!』 とかどうみても変態だろ?

【RL】:まぁあれは変態だった。

【アカシャ】:変態です。綺麗になっても、変態です。

「(……)」

 戦闘時、刻歴葉を、AURAへと、飛ばした時に、包まれたような感覚を起こした、手。それらが、結晶化されず、それらの感覚が澱としての凝って留 ま る。

「(……)」

 ざらつくような、ざわめき。情報の降下も阻害され――……、刻歴葉が、まるで、虫食いの葉のように、不完全なモノとして、更新される。

 人の形を取っているからだろう。

 ――……ふぅ……。

 小さな、小さな、ため息。

 息を吹き返す、かのように彼女は意識を、幹・枝から離していく。

「(……誰……)」

 ザッ……。

「(……そこにいるのは、何……?)」

  ザッ……。

「(……これから、――どうなる、の……)」

 ザザッ……。

 混じる、何かが。

 その疑問を断ち切るのと同時に “全世万界刻歴光素子第10132葉"――は、更新を、不完全ながら、終了させた。

【RL】:お、きり?

【アカシャ】:好き勝手にモノローグしたっ。以上でっ!

【RL】:――おはよう、■■■■■。


 ――SceneEnd...


【RL】:場所どこがいい?

【天杜】:言ってた近くのドームだっけ?

【RL】:そこなら、ドーム都市の安いホテルに。

【天杜】:熱に浮かされて、夢を見たいだけなので、直後ぐらいでいいよ。金あんのかMORI。くれっどくりす、もってるか?

【RL】:もりはもってないよ、本気でもってない。


●ENDING#4 : ROAD TO LOAR

◎Scene Card : ARASHI ( 強引 )

○Scene Player: 天杜

・Stage : ドーム都市・ホテル / イスラエル

†BGM :『 聖なる死への叙事詩 / VALKYRIE PROFILE O.S.T Track01 』


【RL】:じゃあ冒頭から投げるよ。

【天杜】:わかった。


 寒い日だったと、思う。

 窓にかざした手の周りに、白い曇りが出来てそれを面白がって指でなぞった記憶がある。あれは確か、元々丈夫でなかったワタシが風邪をこじらせて、 でも病院というものにいけもしなかったから、せめても、換気の良い場所へと、窓のある館に移された時の事だ。

 枕元にはCDな、紙で出来た上等なこしらえの絵本。色とりどりのそれは、すごく楽しくて宝物だったっけ……。

「天杜様」

 教育係として、ワタシはHexaが一人、水のヴィオレッタに付き添われ、どこか知らないその別荘のような場所にきていた。彼女は、ワタシの九つ上 で星女の傍流の人であると聞いた事がある。

 彼女は私に優しく――そう、意外な事に彼女は優しかった――してくれた。でも、それは、彼女なりの理念の上でだったらしいのだが。

 星女には家族がいない。とはいうもの、生物学上の父、母というものは存在している。ただ、家族というコミュニティを持たないという上での話しでで は、家族がいない、となるのだ。話を戻そう。そんな私にとって、ヴィオレッタ先生は家族に限りなく――優しかったノルマを除けば――近い遠い血縁のお姉さ んのような、お母さんのような人だった。

「お加減はいかがですか」

「へ、平気だよ!」

 扉の外からの声に、あわてて窓にかじりついていた事がばれないように厚いカーテンを閉め、寝台に飛び戻った。微熱が出る事などざらであったから、 平気になることはなくても慣れることはあったのだ。だから、病人とは程遠い勢いで寝台に飛び返り、さもいままで寝ていましたという風を装った。外界に興味 を持つ事は硬く禁じられていた。世俗と触れず生まれ、死んでいく。それが星女。それを疑いも、いやだとも思わない。そういう風に育てられてきたのだから。 でも、

「また、外をごらんになっていたのですね」

 許可もなく気安く彼女は部屋に踏み込む。廊下の外気が、部屋に流れ込んで熱っぽいほほに心地よかった。

「う、うん。御免なさい」

 ワタシの頬の上を、撫でるように彼女の手がすべる。ワタシ達は触れ合わない。ヴィオレッタがワタシに強いたのは、限りなく親しくでも、確実に違う 何か。

「絵本はごらんになられましたか?」

「うん、面白かった」

「そうですか、じゃぁ、これはどうです?」

 世間で誉めそやされるような、人道的なコミック、絵本、歴史書……何かもこの後渡されたような気がする。彼女は、星女には必要のないものを沢山ワ タシにくれた。

「ああ、これなんかとても悲しい……とてもいいお話ですよ?」

 悲劇をそっと薦めて来る彼女は、うっとりとしていて、その横顔は子供ながらにもどきりりとする程美しい女性だった。彼女は、人の悲嘆を好む。そ う、彼女はワタシが普通の心を持って傷つくのが見たいのだ。ひねて、ぐれた、鬱屈した心を持つ人よりも、何のない心を持つ人が陥る悲しみを好むのだ。酷く 困難で、理解しがたい、先生とワタシの奇妙な関係はこの後も、ノルマがやってくるまで続いた。

 ただ、そのときの私はまだ無邪気で、珍しいものをくれる彼女が大好きであったと思う。それを口にする事は、やはり硬く禁じられていたのだけれど も。

 彼女の望んだか、望まぬかワタシは……恐らく、ここにいるに不釣合いな心を持っていると、客観的に思う。でも、傷つくものか。傷ついてなるもの か。

 いいえ、傷つきます。悲しい、ワタシは、ワタシは。

―――どうして心を持っているのだろう? 

ソレが今のワタシを形作る、元。


【天杜】:目が。覚めた。


†BGM :『 窮境へのレクイエム / VALKYRIE PROFILE O.S.T Track05 』


【天杜】:曲、戻しといた。

【RL】:「――……ずいぶんうなされていたぞ」

 若干苛立った様な声。

【天杜】:何でいらだってるんだ。

【RL】:薄暗い部屋。窓には締め切られたカーテン。枕元の電灯だけが、ほのかにあかる。ぱたん、と。読んでいたらしき本を閉じて。

「うーうーと喧しいな、君は」

【天杜】:「……う……」

 ごしごしと、目をこする。微かに指先が濡れる。泣いて、たのだろうか。

「……水」

 熱は下がりきってはいないのだろうか、まだ身体が随分とだるく感じる。ふらふらと、身体を半分寝台から起す。

 服は、汗で気持ちが悪い。

【RL】:「水?……おきるなり我侭な奴だな。少し待て」

 腰を上げる。

【天杜】:せっかくのお洋服が、汗でgdgdに。

【RL】:「ほれ」

 しばらくして、水を満たしたコップをもって戻ってくる。コン、と硬質な音。

【天杜】:ぼう、と。天井を見上げていたが、近づいてきた気配に顔をそちらに向ける。

【RL】:多少乱暴に、サイドボードの上に水が置かれる。かろうじてこぼれはしなかった。

「全く、何が大丈夫なのか。夜の三時だ。それを飲んだら寝ろ」

 風邪で寝込んだ子供って、へんな時間に起きるよね。そしてその時間がなんか魅力的に。

【天杜】:それによろよろと手を伸ばして、ごくごくと一息に飲んだ。

「……ここ、どこ?」

【RL】:「イェルサレム近くのドーム都市だ。それなりに過疎化しているが無人ではない。そこの、安ホテルだ。……金が無かったの で、少々荒っぽい 手段を使ったが、まぁ許せ」

【天杜】:何やったんだ。

【RL】:エキストラでチンピラを購入!殴り倒す!

【天杜】:おい。

【RL】:あ、RL、チンピラなら財布くらいもってますよね。奪います。やったーカッパーだー。こんなかんじ。

【天杜】:おい。

「………そっか」

 荒っぽい手法とは何だろう?そう思いながら、脚を寝台から下ろす。らふらと、絨毯に脚をつき、手探りで壁を伝いながらよたよたと歩く。

【RL】:「…おい」

【天杜】:「う?」

【RL】:「何処に行く」

【天杜】:「シャワー……浴びたい」

 熱が出てるせいで、潤んでいるのか、汗が気持ち悪くて涙目なのか。うるうるとしながら、振り返った。

【RL】:「……そうか。そんな足取りで歩くな、目障りだ」

 すっくと立ち上がると、腹に手を回して、ひょいと抱きかかえる。

 この二人、45cm差です。

【アカシャ】:MORIさん身長は、187……?というか、天杜の身長が142だったとは!

【RL】:うん。

【雲外鏡】:もり。ろり。似てる。

【RL】:おい。

【天杜】:「……ふえ?」

【RL】:「倒れてもらっては困るといっている」

【天杜】:「う?」 ぶらり、としながら。

【RL】:ばん、とユニットバスの扉を開け。 ぽい、とアモリを放り込む。

 ばん。

「出る時は言え」

【天杜】:とんとん、と扉が鳴る。

【RL】:「…なんだ」

【天杜】:「着替え……」

【RL】:「探しておいてやる」

【天杜】:「うん」

 しばらくすると、 シャワーの音が響きだした。

【アカシャ】:MORIさんのファッションセンスや、いかに。

【RL】:「……さて。」

 ぐるり、と部屋を見回し。

「着替えとは何処にあるのだ……?」

 途方にくれた顔で一人ごちた。


 数分後。

 シーツをとりあえず巻いておけ、と投げたら起こられたのはいうまでもない。


 ――SceneEnd...


【天杜】:「そんなどきどき展開な、かっこで寝れるわけないでしょ!!!!!」 って怒ってた。

【RL】:おい。怒り方が変だぞ。

【アカシャ】:シーツ……を巻いて……。

【雲外鏡】:星女様。意外に俗世まみれ。

【天杜】:うん。親に隠れてセブンティーンとかよむ女子高生みたい。女子中学生か、まだ。

【アカシャ】:セブンティーン。(笑)

【天杜】:ananとかな。(笑)後そういう雑誌は、ヴィオレッタがくれた。

【アカシャ】:ヴィオレッタ先生ー!


【幕間】

時、来たれり。

全てが掌上とまでは言わない。

まだ、この身は神ではなく。

だが。


時、来たれり。

私は、何処から来て。

一体、何処へ行くのか?


時、来たれり。

いざ。

■■■■■を、始めよう。

あの、地獄の宴の再演を――……。


●ENDING#5 : Face in the MIRROR

◎Scene Card : VASARA ( 解決策 )

○Scene Player: 雲外鏡

・Stage : "黎明の海星"本拠地 / "闇"の間

†BGM :『 闇黒の絶対者−理不尽にして神聖不可侵 / 機神咆哮デモンベイン O.S.T Track21 』


 この部屋 に、何があるのか。雲外鏡は知らない。

 闇よりも尚暗い闇が、この部屋を支配している からだ。扉から差し込む筈の蝋燭の光は、滑稽なほどにか細く、部屋の入り口を僅かに照らすに過ぎない。 敷かれている古びた絨毯の色が、何色かすらも分からないのだ。

 だが、闇の中。

その、白い肌だけは、何故かじんわりと浮かぶ染 みのように、視界を鮮烈に染め上げる。

"闇"を統べるもの、"tOTEntanz"  ザラストロ。


机、のようなものに腰かけたザラストロは、手にもった器を、興味なさげに弄んでいる。雲外鏡にも進められた其れは、葡萄酒が注がれている筈だ。少なくと も、雲外鏡の手にあるほうには。


【RL】:いかん。こいつがボスにしか見えない。

【アカシャ】:ボス……!色んな意味で、ボス!

【雲外鏡】:兇獸怒啼きずりと極光が、行方不明よねそれとも、兇獸は回収されたんだろうか。

【天杜】:兇獸そっちが回収してる感じじゃないかな。

【RL】:ああ。兇獸すっかり忘れてたんだけど、回収していいよ。極光はどっかいった。あ、兇獸はスロットを一切使わない KARURAね。

【雲外鏡】:倒したのがアモリ組だから自動的にURITEに組み込まれてるかも。

【RL】:詳しくは次回…!!

【雲外鏡】:「とまぁ」

 くんくん、とグラスに満たされた液体を嗅ぎ、顔をしかめる。

「“光”は離反。"極光賛歌断片"と共に行方知れず。"全世万界刻歴光素子第10132葉"は僕の手に。"兇獸怒啼きずり"は、そういえば何処へ 行ったんだろ?多分、星女様のところの神かな?」

【アカシャ】:背後に控えてたりするのか、鍵に戻ったか……。

【雲外鏡】:ふふ、と笑い。

「我が主もお人が悪い」

【RL】:「んー」 くるくると、葡萄酒っぽい何かを回してる。

 しばらくの沈黙の後。

「楽しそうだね、雲外鏡」

 気だるげな、そんな感想だけが帰ってきた。

【雲外鏡】:「とても。彼女から聞いた記録ですが、"螺旋断簡逸書"、というそうですよ。アレは。輪廻と円環、世の流転の理。そし て、長き手を持つ 神を奉ずる魔導書」

【RL】:「初耳だね。まだまだ僕の知らない魔導書はあるみたいだ」

 肩を竦める。

【雲外鏡】:「ええ。僕らの聞かされた7つの何れにも属さない名だ」

【RL】:「魔導書とは、因果に反逆しうる力の権化だよ」

【雲外鏡】:「“光”殿も驚いておられました」

【RL】:「そりゃそうさ。あれは、やられ役に成り下がってしまったんだからね」

【雲外鏡】:「やられ役、ですか」

 沈黙が、あった。何度か見たことがある。これは、ザラストロの"前兆"だ。思い出したように唇が、ゆがみ。

【RL】:「あは。はは ふ  ふふ、ははは」

 壊れたレコードのような、途切れ千切れた笑いをあげた。

「面白いね、雲外鏡。本当に、君は面白いことをしてくれた」

【雲外鏡】:「――僕が?」

【RL】:「運命はね、誰にも書けないんだよ。書いたつもりになっているだけだ。君は、それを面白くする役割を持っているのさ、きっ と」

 たまに、あは、はは、と。途切れた笑みを紛れ込ませながら。

「本当に君は面白いよ。ゲームのほうは勝てそうかい?」

【雲外鏡】:ふんふん、とグラスを嗅いでいたが、結局諦め、テーブルへ戻す。アルコールはダメらしい。

【アカシャ】:だめなのですか。(笑)

【雲外鏡】:あれは脳を破壊するものだよ、アカシャ。よろしくない。

【アカシャ】:はい。過度の摂取は脳細胞に損害を与えます。また、アルコール脱水酵素II型の有無により、人体・心身の損傷の程度が 異なります。

【RL】:オイ。

【雲外鏡】:「どうでしょう? 物語はまだ序盤ですから」 肩を竦め。 「僕からも伺ってよろしいですか? "闇"を司りし、 "tOTEntanz"」

【RL】:「構わないよ。今は機嫌が良いものね」

【雲外鏡】:「退屈は、まぎれていますか?」

【RL】:「ああ」 わらう、わらう。 「これなら、保ちそうだよ」

 わらって、杯を傾ける。

【雲外鏡】:「それは、十全。貴方の願いが、終末までに訪れますように」

 一礼。その手には、水晶色の鍵。

【RL】:「――……終末、ね。そう、くるのさ、終末のときが、きっとね」

 その鍵をみやり。うれしそうに笑う。

「彼女にもよろしくね」


 扉が閉まれ ば、そこは、真の闇。

 その中で何の支障も無く、ザラストロは立ち上 がり、わらう。

 「一番面白いのは、天杜・ステラかもしれない ね」

 ぽい、と、もっていた杯を、高く放り投げ。

 パキィィンッ!!

 砕けた。空中で何かに、つかまれたように。

 ズ……

      ズズ……

 蠢く、蠢く。"闇"が。それそのものが、蠢 く。

 「"黎明の星の導き"に誓って」

 真の闇。彼の"分心"に満たされた部屋の中 で。そう呟いて、低く。笑った。

【雲外鏡】:この部屋、神かよ!(笑)

【天杜】:げぇ。(笑)


 ――SceneEnd...


【幕間】

 此れは、魔導書である。

 そう。魔導書だ。最高位のアーティファクト。

 だが、何故なのか。

 ――…………此れには、"■■"の記憶が無い。

 記述はある。

 知識はある。

 だが、記憶がない。

 変わりに此れにあるのは、奇妙な記憶。

 己が、人間の子として暮らしている、奇妙なユメだ。

 此れは、魔導書である。

 ヒトではなく、器物であるはずだ。


【天杜】:楽園の記憶がないのか。

【アカシャ】:人間の子とくらす……あ、そんな場面がOPであったような。


†BGM :『 Take a flight / VALKYRIE PROFILE O.S.T Track02 』


               ――ザザ ザ…ッ!!!!

 ――ザ……ッ!!

      ――ザザザザザザザザッ!!!!

                        ――プツン


         『ねぇ、聞こえてる?聞こえてるよね』

         『いい?あの子はね。ロクな 人生を歩んでないの』

         『――……言うべきことはこ れだけよ』

         『分かる? 幸福と不幸に、 総量なんてないの』

         『誰かが頑張れば、頑張った 分だけ、幸せになれるんだから』

         『――元気だせよ、男の 子!』


            ――ザッ!!!


             神が歌う。

             角笛が吹き鳴らされ る。

             獣が吼える。

             諦めないことは、死 にも等しい。

             それは、5ツの物 語。


【天杜】:五つ、だと?

【アカシャ】:5つ……!


             出会ってしまった二人の。

             別れてしまった二人 の。

             出会わなければなら なかった二人の。

             死んでしまった二人 の。

             出会わない筈だっ た、二人の。

         さぁ、頁をめくろう。

         出来れば、手を休めずに。

 ぱらり。

           ぱらり。

                    ぱら り。

   きっと、そこには。

   幸せな、物語。


†BGM :『 Roar / いとうかなこ 』


■CAST

「ワタシは、ワタシを諦めない!」

           「なんだ、やればでき るんじゃないか」

                  ――"星女" 天杜・ステラ


「だから、キミは僕の願いに応えてくれ」

「どうでしょう? 物語はまだ序盤ですから」

                  ――"雲外鏡" 


「これの……思うこと、アカシャの思うこと――……」 

「――ごきげんよう」 

                  ――“神葬の黎杖”環樹=アカシャ

■GUEST

          「此れは汝と契約する」

「生きていて良かったな」

                  ――“螺旋断簡逸書”MORI


 死者一万七千人。重軽傷者四万人超。行方 不明者は十万人を数えた、その事件の。それですら序章に、過ぎず。


■???

 / "兇獸怒啼きずり"

 / "極光賛歌断片"


【天杜】:……。


TOKYO N◎VA THE DETONATION

GT Presents!!

【 儀神円舞 】

  出会ってしまった、手と手が触れる。

出会わなければ、知らずにいられた。

希望と言う名の、最後の絶望。

 ――2 B NEXT Page...

・次回

    ⇒ 【 偽神宴舞 】

 ――これにて、 荒唐無稽なる御伽噺、第一幕。終了と相成ります。最後までお付き合いいただきまして、真にありがとう御座いました。

 ただ。まだ、序章でございますゆえ。

 ――次回も、また。

 この劇場にて、お会いできますことを。

 お手元袂のプログラム、どうかお近くの屑篭 へ。

 運命は、変えられるからこそ運命と申します。


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